低気圧について

 

 娘は台風が来る前日辺りから、うつ伏せ寝になると同時に不機嫌になり、頭を掻きむしったりギャーと叫び突発的に物を投げます。今までいくつ食器を割ったか分かりません。両手で食器を持ち、上に高く振りかざしてから思い切りたたきつけるので、食器も食べ物も床一面に散乱し、後片付けがとても大変です。またガラスや陶器の破片を踏むと危ないので、娘の食器は全てプラスチックと木製に変えました。機嫌が悪いときは、警戒して食べ物を出したままにしないようにしています。

 

 

 このように天候の変化で起こる病気のことを「気象病」とか「天気病」というのだそうです。これは天候の大きな変化に体の機能が追いつかずに起きるもので、低気圧の時に調子を崩すのはこのためだそうです。低気圧のときは気圧が下がり人体を押す力が弱まるために、血管やリンパ管が拡張し、それらが神経を刺激するため、てんかん発作やその他の精神症状が起きやすくなるのだそうです。

 

 

 低気圧でしかも暑くてムシムシする日は最悪です。前にもお話しましたが、散歩の途中にカフェがあり、娘がその中に一人でずんずん入ってしまったことがありました。慌てて後を追って「大丈夫かなぁ。」とびくびくしながらテーブルについたのですが、やはり突然、娘が「何よー」と大声をあげて水の入ったコップを思い切り床にたたきつけたのです。周りにいた人たちは皆、凍りついていました。隣に座っていたご婦人の顔や服にも水がかかってしまい、大変なご迷惑をかけてしまいました。それにまた大声を出したらどうしようという緊張と恥ずかしさとで、血の気が引くようでした。謝りながら何とかその場を取り繕い、逃げるようにしてお店を出ましたが、それから家に辿り着くまでの間、激しい怒りは治まらず、ショルダーバックも水たまりにたたきつけました。その時の事を思い出す度に、いたたまれない気持ちになり胃がキューっと縮み上がります。家の中ではよくあることでしたが、外では初めてのことで、さすがに応えました。あれ以来娘とは怖くてどこにも入れません。

 

 

 また梅雨時に、障害者手帳の申請に使う証明書写真を撮りに行ったときのことです。駅に常設してあるインスタントカメラボックスまで行き、中の椅子に娘を座らせ操作をしていたところ、突然「イヤー」と叫んで飛び出してきました。中に入るのを嫌がって泣きわめき、どうしても入りたがらないのです。近くで寝ていた浮浪者のおじさんもびっくり仰天、飛び起きていました。前にも何度とか証明書写真を撮ったことのある所なのに、頑なに入ろうとしませんでした。後から考えて分かったのですが、恐らく、小さな部屋がサウナを想起させたのだと思います。娘にとってサウナは拷問のように辛いものだったので、恐怖が蘇ったのだと思います。このように以前は平気だったことが、殆ど出来なくなってしまいました。

 

 低気圧の続く時期は、あまり特別なことはしない方がいいと学びました。